El Diario Del Bufón Del Rey Lear

元リアの道化による独り言とか。

昔話をしようか

今思うと何でかっこいいと思ったのかよく分からない初めての彼氏(以下「A」)の話。Aは私が大学で所属していた音楽系サークルの先輩だった。

 

きっかけは確か先輩達が「Aと付き合うと『ここはこうしようか』『あ、そこはねえ』って色気のない会話が繰り広げられそう」ということで、それを聞いていた私は「それもいいかな」と思った。何故だ。

それからいろいろあって付き合うことになったんだけど、割と最初の方に「俺仏教徒だから」と言われた。ん、仏教徒? 普通言わなくないか?

2回目だか3回目だかのデートはAのいうところの「仏教」の総本山。会う人に「彼女さんは今日入信?」と聞かれた。おいおい、待て。聞いてないよ。案の定受付みたいなところで申込用紙を渡されて

「入信してください」

やっぱりか! 散々迷って断った。今思うと流されやすい私にしてはよく頑張ったと思う。

 

Aとは2週間に1回ぐらいのメールと月1回会うぐらいのペースでの付き合いだった。毎日メールしてほしいと最初は思っていたけど段々慣れた。

何度か宗教関連の行事が割り込んできて一緒に展覧会も行ったことがある。劇のチケットを割安で貰ったのは良かったかな。

 

Aはとんでもないマザコン男で、私が大学生Aが院生つまり2人とも20代前半の時にまだ母親と入浴することがあると言っていた。母親が買ってきた服を着て「俺これ似合うんだよね」と言い、母親に髪の毛を切ってもらい母親に目のごみを取ってもらうという男だった(書いてて思った、キモイ)。

この母親にも1度会ったことがある。私が大学から楽器を始めたとすると「じゃあ下手なんだ」、演劇が好きと言えば「私演劇嫌いなのよー」、ちょっと粗相をするとフォローするわけでもなく「大丈夫気にしないから」と放置。で、この女性はA曰く高校の授業で自分に必要ないと思ったらサボって本を読んでいたらしい。「母親みたいな人間になりたい」とAは言っていた。

 

あとAは本を読めない人で、数字か音符か絵がないと本を読んでいて頭が痛くなるという。本人曰く「活字アレルギー」。そんなんだからAが読了したのは『博士の愛した数式』と『世界の中心で愛を叫ぶ』のみ。あとは漫画と数学書。

 

Aと母親からの両方からによる宗教の勧誘を、私は「考えてなかった」と交わした。それを聞いたAの母親は激怒。「そんな失礼な子と付き合っている時間はない」とAに言ったらしい。っていうかそれをそのまま私に言うAもどうなんだ。

悩んだ私は姉に相談した。姉は私の頬を叩いて「目を覚ましなさい」と言った。漸く私はAとの関係をちゃんと見直した。そしてその夜電話で別れを告げた。その数か月後、Aは宗教の用事でインド旅行に行くと聞いていた頃だった。

 

Aとその後会ったのは3回。演奏会で1回、サークルのOBの結婚式の二次会で2回。緊張したけどちゃんと話せた。私はサークルとすっぱり縁を切ったので(っていうかAと付き合ってなかったら苦しすぎて辞めてた)今もAが顔を出しているのか分からない。

私が2社目に勤めている時にAからメールが来た。既に私は2人目の彼氏とも別れ、良人に密かに片想いをしている頃だった。Aがアドレスを変えたという。「彼女でもできたんですか」そんな私の質問にAは「結婚するんだ」と返した。お見合いで出会った人らしい。ということは宗教絡みか。

それ以来一切連絡を取っていない。一応FacebookとかLINEで名前を見たような気もするけどどうでもいい。今更話すこともないし。

 

まあ、私のフィルターを通すとこう見えるけどいい人だったんじゃないかな。